自作の部屋
何でもありの製作記 第3回 燻製機大改造→スモークハウス化大作戦
オリジナルの組み立て
実は私は、某ハムメーカーの開発課に40年間勤務していた、食肉製品(ハム・ソーセージ)製造のプロだ。長年培った技術を使って、自宅でも無添加のハム・ソーセージを作りたいと決心をして、個人で買える素材が無いか探したあげく、アマゾンで見つけたのがこの尾上製作所の燻製機だ。ただし、内容を見る限り食品衛生法をクリアできるハム・ソーセージを作るには余りにも非力だ。しかし加工用のベースとしては充分で、尚且つ圧倒的に安い。さっそくこれを購入。今までスモークハウスと言えば、○千万円のプロ機しか使ったことが無いので、ペラペラな鉄板製で心許ないが、なんとかなるだろう。
まずはオリジナルの形のまま組み立てる。左、これがオリジナルの全パーツ。結構な点数だな。中、足を取り付ける。右、取っ手を取り付ける。
左、ドアの取っ手を取り付ける。中、換気用の窓を取り付ける。オリジナルのビスで留めたところ、きつくて回らなかった。右、そこで自前のSUSワッシャとスプリングワッシャを加えて取り付けたところ、非常にスムーズな開閉が可能になった。
左、棚用レールを取り付ける。中、網やパンを取り付けてオリジナルは完成。なんとか細切りの豚バラなら入りそうだな。右、これが外観だ。
改造開始 ヒーターの取り付け
さて、改造開始。
左、オリジナルでは熱源は木炭で、温度コントロール等はほとんど不可能。そこでサギノミヤのサーモスイッチを使用して温度コントロールをする。本当はPt100センサーでコントロールしたいところだが、30000円程になり、それ自体にも電源が必要になるので、この電源を必要としないコントローラーを選択した。ただしフリップフラップは2~3℃程あるのは覚悟の上。中、熱源として採用した電気コンロ。これをバラしてヒーターだけ取り出し、設置するつもりだったが、せいぜい80℃程度なら持ちそうな材質だったので、このまま入れてみる。右、電気コンロのコードが通る穴を開ける。
左、プラグが通る程の穴を開けると隙間だらけになるので、新品の電気コンロのコードをぶった切る。右、穴にコードを通して、そのまま入れる。水濡れと湿度が気になるな。
ファンの取り付け
色々な物をスモークしたり、乾燥、加熱するのに絶対に欠かせないのは風である。全くの無風でこれらを行おうとすると、ムラだらけでまともな物は出来ない。そこで、スモークハウス内の空気を攪拌する手立てが必要となる。いくつか方法を検討したのだが、排気ダクト用中間ファンを購入しそのパーツを取り出して利用することとした。左、購入した中間ファン。中、さっそくバラしてモーターとファンを取り出す。ちゃちなモーターだ。スモークハウスの天面にシャフトと取り付け穴を開ける。右、取り付けた様子。突起等を考慮してナットで少し持ち上げた。
ファンを回してみる。まあこんなもんかな。ファンはセンターでは無くてどちらかにオフセットする方法もあるが、今回はセンターにしてみる。乾燥ムラがあったらその時に考えよう。
ヒーターの結線
全ての結線をして、試運転してみる。左、温度コントローラーの結線。電源線の一本はダイレクトにヒーターに、もう一本はコントローラーのCへ、Hからヒーターのもう一本へ結線。これで設定温度に達するまでヒーターに通電される。中、通電中の電気コンロの様子。どの位の容量が良いのかまだ解らないので、まずは400Wでテスト。右、全体像。ケーブルがむき出しで格好悪いね。
この燻製器には元々温度計が付いている。しかし・・・温度範囲が20℃~350℃!!!。誰が350℃なんて使うの?オーブンじゃあるまいに。肝心の60℃前後が狭すぎて使えないな。
蒸気を吹き込む
もう一つハムソーを作る上で欠かせないのが「湿度」である。「燻製の作り方」と題した文章を拝見すると、決まって書いてあるのが「肉や魚の表面を充分に乾燥してからスモークしてください。そうしないとスモークが乗りません。」なんて書いてある。これはプロからすればお笑いだ。確かにびしょびしょの状態でスモークしても、スモークは乗らないわ、乗っても真っ黒だわで、うまくはいかない。ところが、良い状態まで表面を乾燥して、絶妙のタイミングで(職人芸)スモークを開始すると素晴らしい色、香りのスモークが乗る。更に絶妙のタイミングで、適度な加湿をしてやると(この手法やレシピーは、今後「ぱぱのハムソークッキング」(仮称)に掲載します)、ごく短時間でスモークを完了することが出来る。そこで改造だ。
左、蒸気の通るパイプを通すためジグソーで穴を開ける。右、肝心の蒸気だが、蒸気ボイラーを買えるわけもなく(卓上型の見積もりを取ったら50万だった(^^;))、超音波加湿器で代用してみた。プロ機ではハムソーの最後の加熱は蒸気で行う。鍋のお湯なんかで茹でたら、旨味が全部出てしまうからだ。あわよくばこれで加熱(蒸煮)も行う。
スモーク発生器を作る
先回の試運転で、取説通りの方法で付属の皿にスモークチップを入れてスモークを出してみた。しかし、すぐ火が消えてしまってまともなスモークは出ない。プロ機は「スモークゼネレーター」と言って、専用の機械で風を送って燻煙を発生させる。やはりここでも風は必須だ。使えそうな物を探して探して探し抜いた挙げ句、見つけたのがこれ、左、「蜜蜂燻煙器」。蜂蜜を採取するのに、蜜蜂に煙を吹きかけておとなしくさせる道具。こちらの希望する機能を全て備えている。おまけに安い。容器の中に火を付けた新聞紙を放り込み、スモークチップを上に入れてフタをし、乾電池で動くファンを回すだけ。中、テスト的に使ってみたらこの通り。中が見えないほど大量の煙発生。最高。初回テストのベーコンを作っている風景。右、先回ヒーターを試運転してみたところ、温度の上昇があまりにも遅い。原因は薄いボディーから熱がダダ漏れしているためと判明した。そこで全ての面を断熱することにしたのだが、グラスウール、発泡ウレタン等々考えた挙げ句、このスモーカーが入って来た段ボールを貼り付けてみた。結果は非常に良好だが、見た目は最悪。
これで一応使える「全手動型スモークハウス」の出来上がり。使い方は「ぱぱのハムソークッキング」(仮称)でご覧いただきましょうか。(^_^)v