何でも作っちゃおうの部屋


(30センチ反射赤道儀製作日記 第26回)

鏡筒の製作5

 今月は望遠鏡のボディーを形作るパイプフレーム構造について説明します。
 私の作った望遠鏡は、以前にも説明しましたが、ミラーセルボックスから前の部分だけがフレーム構造で、それ故セルリエトラス構造ではありません(今考えれば、そこまですれば良かったと思っていますが)。
 製作そのものは、第40回に掲載しました図面に則って、それぞれのパイプの長さと切断角度に従って切断し、2本を一組として帯鋼で溶接接続しました(上写真)。それを第38回に掲載した写真のように筒先リングとボックスに溶接しただけです。
 溶接しただけと言いましたが、これにはかなり苦しみました。位置ずれ、捻れなどが発生しないように溶接する方法に悩んだあげく、第38回の写真のように、すでにねじ切りしてあったインバーでフレームを挟み込み、しっかり固定してから溶接しました。薄肉のパイプですので、溶接跡が見苦しく、いかにも素人作と言った感が強いのですが、まさにその通りなので、今でもそのまま使っています。
 私の望遠鏡では、パイプを直接ボックス等に溶接してしまいましたが、アメリカ製のドブソニアンにも見られるように、パイプを点で固定する方法の方が良かったように思っています。
 

フォーカスリングの製作

 さて、いよいよフォーカスリングの登場です。何しろこのパーツは都合3回も作り直しました。原因は全て「溶接による熱変形」です。
 基本的構造は、内側にねじ切りしたリングに、4本のスパイダーを溶接した物ですが、その作業順序でつまずいたのです。
 この写真は第1回目ですが、リングを旋盤加工(内側のねじ切りと、スパイダー部分のフライスによる溝切り)してから、作っておいたスパイダーを溶接しました。ところが、別に作っておいた内筒をねじ込んで真っ青。溶接したところが熱収縮して変形し、全く入りません。溶接の仕方が悪いのだろうと同じ事を2度繰り返しました。
 ようやく、根本的に間違っているんだと気がつき、3回目には、溝切りだけしてねじ切りしていない、ブランクを作成し、半分程度の長さのスパイダーを溶接し、それからねじ切りをしました。そこへ、残りのスパイダーを溶接したわけです。これでようやく満足する物が出来ました。
 完成品の構造は、写真の物と全く同様です。スパイダーは4.5mm厚SS板からの切り出し。スパイダー先端の3カ所穴の開いた板で内側筒先リングに取り付けます。この部分で光軸調整をするので、3カ所の穴は押し引きねじ用です。これも苦労の大作の一つです。
 次回は斜鏡金具の製作と、全体の組み立てなどを紹介する予定です。

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HIROYUKI KASUGA