研修報告 カウンセリング&コンサルテーション研修会
学校現場で使えるカウンセリング・テクニック (2003.8.3)
於:松本大学
講師:千葉大学助教授 諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)先生
consultation (医学用語 相談)
「身体各科の治療中、精神症状の出現した患者、治療に抵抗する問題患者などの対処に精神科医が意見を述べ、対応策を助言、提案すること」
school consultation(スクールコンサルテーション)
「指導・助言に困難を感じている子ども達へのかかわりにあたって、心理臨床の専門家やその他子どもの指導にかかわる専門家の意見を聞き、対応策の助言・提案をしてもらい、その助言・提案の中から、教師は教育の専門家として、その助言・提案を取り入れるか、または参考にして新たな工夫をこらしながら指導に当たるかを、教師なりに総合的に判断して該当する子どもへの対応をすること」
一、「カウンセリング・テクニックを使った学級づくり」
【1】今、なぜ学級経営が難しいのか
(1)子どもや親が教師をコントロールする時代
今、子ども達に起こっていること
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○高校生…靴かくし(かつては小学生)
○中学生…火遊び 掲示物に火をつける生徒(かつては小学生)
○小学生…リストカット(手首を切る)小学生2・3年生
クラス単位でシャープペンの先で手を突き刺す
※年齢の差・男女の差がなくなってきている
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人間関係でストレスを抱えている子 そして、自分の気持ちをなかなか相手に伝えることができない子 傷つきやすい子 そして、傷つきやすい親
※守ってあげる 安心できる雰囲気がないと問題行動が多発する。
(2)教師の3つの悩み
こども 保護者 教師間
【2】カウンセリングを学んだ教師の学級経営
(1)心のスペースを整える
○子どもが話しかけやすい雰囲気
(2)ポジティブ(positive・肯定的な)な学級経営
タ
イ
プ
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リーダーシップ
(引き締める・ルールを守らせる・安全に自分の気持ちを話せる・安全な枠を与える) |
カウンセリングマインド
(ここに応じたケア・話しやすい)
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割合
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備考
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A
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○
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○
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20%
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理想的
学校生活満足群多い |
B
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○
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×
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70%
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非承認群多い
子ども達は静かだが、その先生がいなくなると爆発する |
C
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×
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○
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クラスかあれる兆候 教師の権威がない 先生に注文・批判が多くなる
生き生きしているが収拾がつかない |
D
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×
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×
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3%
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生活のために教師をしている
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B・Cの場合。
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肯定的な目標や課題を設定
(具体的な言葉で明示する)
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どうだったか帰りの会などで振り返る
できていた子を賞賛
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実 現
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ほとんどの子ができるようになる(2〜3週間続けて)
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新しい目標や課題の設定
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○印象を持ってしまうとなかなかそこから抜けきれない
○イメージのリセットが大切→2学期の仕切直し 先生が今までとは違ったキャラで子ども達に望むことも必要。いつもと違った挨拶。
例えば…サイコロトーキングなどのエクササイズは適当。
【3】クラスの中に荒れや乱れが見えたとき
(1)注目・関心
※しかし、問題行動には注目しすぎるな。
先生に振り向いて欲しい。しかられたい。教室で寝ころぶ子…放っておくことも必要。味をしめてしまうこともある。授業を中断しない。問題行動に時間をとられすぎない。まじめに関わっている子 賞賛。→教室の正常化
(2)権力・闘争
けんかはかわないこと魂の修行のチャンス。冷静さを保つ。
◇言葉遣いを丁寧に(君・さん・です・ます)
◇問いかける
※空気が合わないことが大切
(3)荒れないクラス作りのこつ
◇約束をし直すこと 具体的に実現可能なもの 約束を守りあえたか確認
2週間守れたら、約束を少し増やしていく
【4】困った親とのつきあい方
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@無関心→目の前の子どもで勝負しましょう。親が無関心だから私がやるという発想転換。
A子どもを猫かわいがり(100%子どもを信じる)…子どもも親も傷つきやすい
B熱心すぎる 過干渉→子どもの主体性を奪う 教師にも過干渉
親からのクレーム
C依存的な親…しつけから何でも先生にお願いする
Dわがままな親…自分の子どもの靴を隠す(騒ぎを起こしたかった)
E虐待する親…コントロールがきかない 怒り出したら止まらない 忍耐がない
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(1)正論で説得するな
(2)関係作りに徹せよ
【5】弱音の吐ける職員室作り
(1)教員同士の関係の難しさ
(2)コンサルテーションのこつ
@とりあえず、どうありたいか
Aさしあたり、何ができるか
【6】
(1)自己との関わりの次元
(2)他者との関わりの次元
(3)集団や社会との関わりの次元
(4)人間を超えたものとの関わりの次元
【7】学級作りのための構成的グループ・エンカウンター
(1)エンカウンターをどう説明するか
(2)どんな時エンカウンターを行うか
(3)上手なエンカウンターのコツ
実習
(アサーション・トレーニング…自己主張訓練→相手も自分も大切にする力、相手を傷つけずに「ノー」といえる力)
2人組
(1)○○さんから電話がかかってきたが、今とてもおもしろいテレビをやっていてでき るだけ早く電話を切りたい。その場面をやる。
(2)相手が今日見に行きたい映画は「ホラー映画」、しかし私は「ホラーよりも」ラブ ストーリーものが好き。どうする?
(
自由なグループを編成する)
(ウォーミングアップ)
自由に歩く→あった人と目を合わせて挨拶→あった人と肘を合わせて挨拶→あった人 と足の裏を合わせて挨拶
(グルーピング)
♪♪ ♪♪ (教師)「猛獣狩りにいこうよ」♪♪ ♪♪
(子ども)「猛獣狩りにいこうよ」
(教師)「やりももっている」
(子ども)「やりももっている」
(教師)「ピストルも持っている」
(子ども)「ピストルも持っている」
「あっゴリラ(3文字)」「あっしまうま(4文字)」…
(3人グループを作る)(4グループ)
ソーシャルスキルトレーニング(円滑な人間関係を築くための教授可能な技術)
○自分の自慢できるところ
○自分の欠点を1分以内に述べていく
○聞いている人は短所を長所に変えてコメント