研修報告資料                          14.8.20
        学級経営セミナー
      
〜Q−Uを用いた学級集団の分析と対応〜

   2002年 8月10日(土)東京会場 日本教育会館

   主催  社団法人 日本図書文化協会
        財団法人 応用教育研究所
   後援  日本教育カウンセラー協会

   講師  都留文化大学教授           河村 茂雄 先生
   日本教育カウンセラー協会岩手支部長
 
◇ 職場の中で教師サポートができにくい状況になりつつある。

東京都公立学校の場合
 管理職に相談しにくい状況…教員評価制度が絡んでいる
 相談に行くと評価が下がる場合がある。昇級していく教員と昇級しない教員。
教員同士のねたみ・ひがみ。「あなたは昇級していて手当も良い。だからこの仕事
してください。」と頼まれる。「できるだけ学校へ行きたくない」という先生もいる。
 また、教員に対して出席を一日3回とっている。
 
このような状況を考えるとき、先生方のサポートを外部機関においてできる状況も考えたい。








































































































 

  2.東京都の人事管理政策 [2]
 (1) 成績主義「特別昇給制度」

 一九九四年六月、東京都教育委員会は、本来の特別昇給が「勤務成績が特に良好な場合に措置するものである」にもかかわらず、「現状は必ずしも制度の趣旨に沿った適正な運用が行われているとは言いがたい」として、その運用の適性化を図るための新しい運用方法を決定し発表した [3] 。それは、校長に「過去一年間の勤務成績が極めて良好な者」「特に良好な者」を特別昇給予定者数よりも多めに推薦させ、都教委が推薦された者のなかで不適格者をはずす「調整」を行うというものである。これに対して教員からの反発も大きく、「東京都の勤評特昇の本質は、教育行政が勤評闘争後、実質的に凍結させてきた教員の勤務評定による統制に、本格的にのり出してきたことにある」「当面は統廃合がらみの総合学科新設等に批判的な者の口を封じていく」「選考基準、査定文書、校長から出された具申書は情報公開請求できない」などの批判が出されている [4] 。

 (2) 管理職勤勉手当への成績率導入

 一九九四年三月、都議会は職員給与条例の改正を行い、同年一二月から、東京都の公立学校の校長と教頭に対して、勤勉手当への成績率の導入を実施した。これは管理職の勤務成績を五段階に評定して、その評価の低い者から一定の金額を差し引き、評価の高い者へ増額するという方法で、勤務成績を勤勉手当に反映させるというものである。こうした制度は国や他の地方自治体においても採用されているが、財源はそのままで、一方の職員の手当を削って他方に増額するという東京都のような方式は全国的に例を見ない [5] 。

 (3) 業績評価と自己申告制度

 都における人事管理の基礎をなす業績評価制度および自己申告制度は、一般行政職員に対して一九八六年から導入されていたが、これらの制度は一九九五年には、教育管理職にも、従来の勤務評定制度に代えて適用された。したがって、業績評定が勤勉手当だけでなく人事移動、昇任昇給等の基本的資料となったのである。これらの制度の概要は次のようなものである。年度始めに校長・教頭は、学校経営・職員の指導監督等について目標設定を行いそれを自己申告し、年度末の二月にその成果を自己評価して評定者に提出する。評定者はこの自己申告と自己評価をふまえ絶対評価による評定を行い、最終評定者である教育長は相対評価による評定を行う。評定者は目標設定にあたっての指導助言と、評定結果にもとづき改善すべき点などを指導助言することになっている。都教委はこれらの制度を管理職だけでなく教員にも導入する意向を示している [6] 。

 (4) 「指導力不足教員」判定制度

 東京都は、子どもを適切に指導できない教員を、「指導力不足教員」と判定する制度を一九九七年度末から実施した。対象となるのは、病気や障害以外の理由で、子どもを適切に指導できない状態の教員で、都立学校の場合は校長が都教育庁人事部に申請し、年度末に判定会議を開く。「指導力不足教員」と認定されると、定員外の教員として校長や都の指導の下に入り、三年後には免職の対象となることもあるという。同年度末に東京都教育庁は、小学校から高校までの一六人の教員を該当者とした 7 。

3.「教員評価」と「教員評定」
 これまで、教員評価を制度化する目的は教員の資質向上にあるとされてきた。そして、具体的な施策としては、評価結果を教員の処遇に反映させる人事考課制度が導入されている。

 しかし、本来の教員評価と、処遇に反映させるための教員評価とは理念的に峻別されるべきものであろう。そこで、もっぱら教員の資質の向上だけを目的として、その資質向上に必要な情報を本人に提供しこれを以後の業務にフィードバックさせる手続きを「教員評価」と呼ぶことにする。これに対して、人事考課の資料とするため、教員の能力・実績を客観的に測定しレイティング(ランクづけ)する手続きを「教員評定」と呼んでおく。

 「教員評価」は相対評価である必要はないが、「教員評定」は現実的に、相対評価の形式をとる必要がある。なぜならば、絶対評価では処遇への反映が行い難いからである。

 近年、導入が進められている人事考課制度は、この「教員評価」と「教員評定」の両者の性格を合わせ持つものである。したがって、人事考課の制度には、「教員評価」の観点からは評価内容の本人開示が要請される。また、「教員評定」の観点からは評定の客観性と公正性が求められ、評定に評定者の主観が入る余地を少なくする評定基準や手続きが必要となる。また、評定結果に対する意義申し立て手続きも要請される 。

 ところが、「教員評定」は「教員評価」の目的と矛盾する結果を生み出すことも否定できない。つまり、「教員評定」は、教員集団に競争・差別・分断を持ち込むことになり、全体として、教員の資質の向上を疎外する危険性があるためである。また、「教員評定」による人事管理をとおして支配関係が確立し、教育行政が教育内容を統制することを日常化させる危険性があることも指摘しておきたい。

 

【注】

[1] 地方公務員法第四〇条一項(勤務成績の評定)

[2] 小川正人「教員給与と教員評価(1)」『季刊教育法』一九九五年一〇〇号九六頁、井原敏「東京都の成績主義の攻撃」『教育』六二四号(一九九八年三月)

[3] 東京都教育委員会「学校職員の成績特別昇級の改正について(最終)」一九九四年六月一三日

[4] 「いまなぜ『勤評特昇』か?!」je pense 一九九五年一二月

[5] 佐藤全・坂本孝徳編『教員に求められる力量と評価《日本と諸外国》−公立学校の教員はどこまで評価できるか−』七七頁、一九九六年

[6] 毎日新聞一九九九年三月三一日

[7] 朝日新聞一九九七年一一月一六日「都『できない先生はクビ覚悟を』」、朝日新聞一九九八年三月三日「指導力不足教員一六人判定」

[8] ユネスコ・ILO「教員の地位に関する勧告」六四項(一九六六年)参照

          http://osaka.cool.ne.jp/osaka/1259/lib/khk186a2.htm
                     〈大阪教育法研究会より抜粋〉
 
◇学級経営=心の教育 対人関係をつなげ、子ども達の実態を活用すること。
 クラスがあれている状況を周りはどう見てきたか
1980年代…担任の先生のあの性格だからクラスがああなるのもやむを得ない。
       ほかの先生ともうまくいってないし…。
1991年頃…学級崩壊の仕方が少し変わってきた  一気に崩れる
一般にベテランと言われている先生のクラスがどんどん崩れてきた
   この年は、当時文部省が「不登校のとらえ方をどの子にも起こりうる」と見解を変えてきた年
 



 

  (子ども達が変わってきた)
☆ 対人関係がうまくとれない  ☆集団生活がうまくやっていけない
 
※「集団」となっていないのに「集団」として動かそうとする…無理あり
  反発・授業ボイコット    ベテランの味が発揮できない
  ◎今までのやり方ではだめ 今の子ども達にあったもの
 
 
1996年 学級崩壊の問題 マスコミで取り上げる
     引きこもってしまった30歳前の青少年達→社会不適応になってしまっている
対人関係をつくりあげる→体験学習でしか得られない 唯一学校でしかできない
◇自分は「こういう人間」だから「こういう仕事」につきたい…これがない
 20歳代で仕事に就いていない人がたくさんいる。
◇大人になれきれず、子どもっぽい 自己の確立がうまく機能していない
 
1970年…約5000人の不登校生   
2002年…13万人
 
 
 
T. Q−U(Questionnaire−Utilities)の開発経緯
◇日常観察で教師の目に見えないところでいろいろなことがおこっている
◇「わからなかった」「知らなかった」では通用しない
大学のテキストが大きく変わりつつある 
挿絵・図・書き込みができるテキストに変わってきた    90分間の授業はもたない
大学の授業も成立しない現状  熱血先生だけでは通らない…管理職は 「まじめすぎる・肩の力をもっと抜いて」というかそういうことではない

  集団    ×  リーダー
  個人      シップスタイル
 

このマッチング
である。
 
 
◇集団・個人が変われば、リーダーシップスタイルを変える必要がある。
◇Q−Uをどう学級経営に生かすか
  
◇被害者意識の強い子…認知の修正が必要  ◇担任が「カッー」となったらだめ。
 セルフコントロールが必要  クラスの状態を捉え、学級経営を見直していくことが必 要 ◇自分がもてない子が増えている 周りと同調しようとする〔対人関係が希薄・自己中心的・周りの雰囲気をよんでいる〕→「みんなやっている」「おもしろい」「楽」
◇今の子は同調傾向が高い→非承認群の子
 

  
 厳しく・管理的な先生 タイプ
 
〔学級崩壊への過程〕
4〜5月

○この時期にどう関わるか勝負

○ルールの確立
 
 






厳しく言わない・怒らないタイプの先生

4月〜5月
○いごこちよい
○自由だ 楽だ
○最低限のマナー・ルールを確認していない
○クラスがなれ合いになっている
(友だちの物を黙って借りる 等)


 
 
 
 
 

   (学級崩壊)

○厳しくしかってくれない
○あの先生に言ってもダメだ

◇中学校の場合
 特定の先生が行けばよい
     ↓
 どの先生が行ってもダメ
 
 

  Q−Uを数回やる。
左図になるようにする。

(中学校)500クラス中
2パーセント

(小学校)500クラス中
4パーセント

 
 

 ○4月時点で左図のようになっている高校もある。
    ↓
組織としての対応が大切。
言葉がけ




 
 









 
 
 
 
 
 
 
 
○がんばっている子の足を引っ張る

(学級崩壊)
○「みんなやってないジャン。」
言うことで安心感
(いいわけ)

○授業 成立せず
感想
 人間関係を観察法のみに頼っていたのではここの内面まで迫れない。ソシオ等もあるが、さらに優れたものとしてQ−Uがあるのではないかと思う。このテストを使うことで学級集団が学びの集団へとさらに質の高い集団が形成されていけば、教師のここの負担(ストレス)も減ってくるのではないだろうか。
今後、学級集団がどのように育っているか育っていなかったらどこに原因があるだろうか、という議論が校内で盛んにできるように努力していきたい。
○厳しい管理  
○小さなトラブルは減る
○枠の中で発散する子…1970年代まで おさまることができた
○集団の階層化が始まる
※エンカウンターが必要

◇「リーダーしっかり面倒見てね」
リーダー自体が動かなくなった
◇リーダーシップをとるということは魅力的でない
◇リーダーが機能しない実情

動かない→消極的反抗
◇校内で学級経営のコンサルテーション(Q−Uの分析・対応)をすること。
 ◇崩れる前にする。
 ◇月に定期的に日を決めてやる。
 ◇その子の違う一面を見る…子ども達は相手を見て行動を変えている。(多様な場面多様な目で)