井上井月いのうえせいげつさん
井上井月(いのうえ せいげつ) 俳人。文政5(1822)年〜明治20(1949)年3月10日。越後国長岡の出身。生い立ちその他不明。 天保10年、18歳のとき江戸に出た後諸国を行脚して、晩年は信州に入る。一所不住の乞食(こつじき)に等しい漂白の生活を送った人。そのため、「乞食井月」ともいわれている。その境涯は、自身の作になる和歌 今は世に 拾ふ人なき 落栗の くちはてよとや 雨のふるらん (『述懐』) がよく物語っている。 漂白の中に残した俳句、1400句以上。その他の作品の全ては、『井月全集』に収められている。 秋立つや声に力を入れる蝉 井月 以上 『日本近代文学大辞典』講談社版 による。
井月の墓石には、次のような句が刻まれていたようですが、墓石が花崗岩のため風化して残念ながら読み取れません。 降るとまで人には見せて花曇 墓所の案内板によると、せいげつは1700以上の俳句を残しているようです。また、案内板には、次のような逸話が書いてありました。 「ある冬のこと、井月があまりにも寒そうな格好をしているので古い綿入れ羽織をあげた。二、三日して井月を見るとその羽織を着ていない。わけを尋ねると井月曰く・・・乞食があまりにも寒そうなので着せてやった・・・」